第11回 事業別の業績を知る方法-セグメント情報


前回は、決算書の財務情報を少し離れ、会社の経営を担う人々や株主構成について知る方法をご説明しました。

今回は、事業別の業績を知る方法をご紹介します。
最近の企業は、経営多角化により複数の事業を営んでいることが多いです。
そうすると、会社の業績は、それら複数の事業のそれぞれの業績に左右されることになります。
順調にいっている事業もあれば、うまくいっていない事業もあります。それらを一体として、会社グループ全体が成り立っているわけです。
有望な新規事業が伸びているかもしれないし、本業のうち大黒柱であった事業がだんだんうまくいかなくなってきているかもしれません。
しかし、会社全体の業績を見ても、どの事業がうまくいっているのか、あるいはうまくいっていないのかは分かりません。

これを知るのが「セグメント情報」というものです。

セグメント情報は、前回でご紹介した「有価証券報告書」に載っています。第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 の注記情報として記載されます。
webサイトにセグメント情報を載せる会社もあるようです。
例は、ソニーの平成23年3月期のセグメント情報をもとに、見やすいよう体裁を整えたものです。

EDINETの情報をもとに再構成

ソニーといえば家電やゲームなどの電機、音楽の会社として知られています。
例を見ると、確かにコンスーマー・プロフェッショナル&デバイスという事業が全体の半分を占めているようです。
しかし、コンスーマー・プロフェッショナル&デバイスの利益は極端に少なく、金融が稼ぎ頭であることが分かります。
2011年11月、ソニーはテレビ事業の不採算についての今後の見通しを発表しました
それによれば、平成24年度は、テレビ事業について、売上高8,750億円、営業損失1,750億円が見込まれるということです。
上記の例で言えば、テレビ事業の売上はコンスーマー・プロフェッショナル&デバイスの約4割程度ですが、営業利益(損失)について言えば、会社全体に及ぼすほどの損失になってしまったことを表しています。

次に、過去の決算が問題となったオリンパスの例を見てみましょう。
ちょうど数日前の2011年12月26日に、過去の決算を訂正した決算書、臨時報告書が提出されました。こちらもEDINETで見ることができます。

EDINETの情報をもとに再構成

オリンパスについては、過去の決算に問題はあったものの、本業のうち内視鏡などの医療事業は非常に収益性が高いと言われていました。上記の例で、営業利益又は営業損失(△)を見ますと、確かに会社全体の業績に対して大きな収益の貢献をしていることが分かります。
事業環境の変化により、昔と事業内容が変わっている会社もあります。

気になる会社があったら、セグメント情報を見てみましょう。

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