第12回 大王製紙の売上が減る?


今年初めての更新です。
前回は、事業別の業績を知る方法をご紹介しました。
昨年までは決算書の全体的な読み方のお話をしてきましたが、今回からは、時々新聞などで登場する分かりにくい専門用語をやさしく解説していきたいと思います。

2012年1月14日、大王製紙は子会社の異動を発表しました。
これにより、減収(売上が減ること)になると発表されました。
大王製紙グループは、傘下に多くの会社を抱えていますが、子会社として過半数の株式を持っているわけではなく、多くは過半数未満でした。
ただ、創業家がそれら傘下の会社の経営も握っていたため、子会社として扱われていました。

子会社とするかどうかは、単純に子会社の株式を過半数持っているかどうかではなく、実質的に支配しているかどうかで判定します。
今回、創業家一族が経営から外れたことで、これらの子会社を実質的に支配している、とは言えなくなったため、子会社から外したということです。

さて、子会社から外すことがどうして売上の減少につながるのでしょうか。

一般にグループ企業の決算は、「連結決算」といい、親会社だけでなくグループ会社を一体とみなす決算を行います。
具体的には、グループ企業すべての会社を全部合算したうえで、グループ内の取引は打ち消す(相殺消去)処理を行います。
今回、大王製紙のグループ会社が子会社から外れる、ということは、この連結決算の対象から外れること、すなわち合算の対象でなくなることを意味しています。

このため、子会社の売上(のうち外部に対する部分)がなくなるので、グループ全体として売り上げが減ってしまうように見えるのです。