いよいよ決算書を見てみましょう。
決算書には、大きく分けて「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」の3つがあるのですが、世間に多くある本のように、それらを体系立てて説明してもあまり面白くありませんから、まずは実物をみるところから始めましょう。
下記は、「ユニクロ」ブランドで有名な、ファーストリテイリングという会社の決算書のうち、「損益計算書」という部分を抜き出したものです。
金融庁による公開情報EDINETより再構成。
私が決算書を見るときは、まず売上高を見ます。
最近の会社の経営では、「売上至上主義」に対する批判もあるのですが、それはともかく、会社がいったいどのくらいの大きさのビジネスをしているのか、ざっくりと掴むにはやはり売上を見るのが一番いいのです。
売上高は、「損益計算書」という決算書の中で、一番上に載っています。
平成20年は、売上685,043で、平成21年は売上814,811だったと書いてあります。
日本語で数字を表すときは、万円、億円、兆円と単位が4ケタずつ上がっていきますが、ビジネスの世界では千円、百万円、十億円と3ケタずつ上がっていき、それを,カンマで区切るのが一般的です。
この読み方は、慣れてくると何でもないのですが、慣れないと下からイチ、ジュウ、ヒャク、セン、と数えないと分からないので、最初のうちは大変です。
この表は「単位:百万円」と一番右上に書いてあります。つまり一番小さい数字が百万円ということです。
したがって、平成20年は、売上685,043百万円で、平成21年は売上814,811百万円だということになります。
つまり、平成20年から平成21年までに、売上は増えているのですね。
ユニクロは業績好調と言われていますが、売り上げが増えていることから、なるほどと思います。
売上814,811百万円は、ぱっとみて分かりにくい数字ですが、数えてみると8千148億1千百万円と分かります。
(繰り返しになりますが、慣れるとぱっと8千148億円、とすぐ読めるようになります)
売上8千億円というとなかなか大きな会社だと言えるでしょう。
業種の異なる会社を単純には比較できないのですが、デパートの高島屋の平成23年2月期の売上高は869,476百万円でした。
だいたいそのくらいの大きさだということです。
次に私が注目するのは、「営業利益」です。
細かい解説は次回以降に譲りますが、「営業利益」は文字通り、会社の「営業」で儲けた利益です。
平成21年は132,378百万円、すなわち1323億円あるということです。売上814,811で割ると、16.2%となります。
100円の物を売って16円儲かるということです。あの1,980円のフリースを1着売ると、320円の儲けがでるということですね。
※ここでの「儲け」は、会社の色々な経費も全部差し引いたものです。本社の家賃とかCMの広告費なども引いた残りの儲けです。
業種により様々ではありますが、本業の儲けで16%出せるのはなかなか大変なことです。
最後に注目するのは、「当期純利益」です。
こちらも細かい解説は次回以降に譲りますが、「当期純利益」は税金なども差し引いた、会社の最終的な儲けです。
平成21年は61,681百万円、すなわち616億円あるということになります。
ちゃんと儲かっている会社だということが分かります。
さて、今回注目した数字は「売上高」「営業利益」「当期純利益」ですが、私はいつも、もう一つ、そのトレンドにも注目します。
たいていの決算書は、2期比較と言って、前の年度と今年とを並べて比較しやすいようにしています。
そこから次のことが読み取れます。
平成20年は、売上685,043百万円で、平成21年は売上814,811百万円ですから、売り上げは18%も伸びていることになります。
一方、営業利益は、平成20年は、108,639百万円で、平成21年は売上132,378百万円ですから、営業利益は21%と、売り上げ以上に伸びていることになります。
その理由はいろいろあると思いますが、売り上げ以上に儲けが伸びていれば、事業が成長していることの一つの現れ、と見て取れるでしょうし、反対に売り上げが伸びていても、儲けの伸びがそれ以下であれば、成長はしていても少し無理をしているのかな、と見ることができます。
今日のポイント:
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売上を見ると会社の事業の大きさが分かる
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営業利益を見ると、本業の儲けが分かる
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前年と比較すると、その伸びが分かる
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営業利益を売上で割ると、どのくらい儲けの率があるかが分かる
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さらにそれを前年と比較すると、より儲けが伸びているかも分かる
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テキストよりも死ぬほど分かりやすい、遠回りしてました。 続きを楽しみます。