日本の労働生産性は低いのか

日本の労働生産性は低いのか-巷では昨今よく聞かれるフレーズです。
日本の労働生産性は本当に低いのでしょうか。また、低いとしたらそれを上げるにはどうしたらよいのでしょうか。

公益社団法人日本生産性本部が毎年公表している「労働生産性の国際比較」によると、2015年の日本の労働生産性はOECD加盟国35か国の中で第22位、74,315ドル(783万円)ということでした。
米国は第3位で121,187ドル、日本人が「ラテン系」と称して失礼ながら生産性が低いイメージがあるスペインも日本よりは上位の16位で89,704ドルですから、確かに日本人の労働生産性は先進国の中でみても低いと言えそうです。

ところで、ここでいう「労働生産性」とは何でしょうか。日本生産性本部では次のように定義しています。
労働生産性=GDP(国内総生産)÷就業者数(または就業者数 労働時間)
さらに、国ごとの比較のために為替レートの調整を購買力平価(PPP)により換算しているということです。

日本のGDPはもちろん、日本政府が計算しているわけですが、内閣府ではGDPは国連の定める国際基準(SNA)に準拠しつつ、統計法 に基づく基幹統計として、GDPをはじめとした国民経済計算を行っている、としています(内閣府-「国民経済計算とは」)。
その計算方法はさらに詳しく内閣府が公表しており、
GDP=雇用者報酬+営業余剰+純間接税+固定資本減耗
として計算されます。
※純間接税は生産・輸入品に課される税-補助金

したがって、労働生産性を単純に算数で分解すると、

労働生産性=就業者一人当たり雇用者報酬
+就業者一人当たり営業余剰
+就業者一人当たり純間接税
+就業者一人当たり固定資産減耗

となります。
純間接税と固定資産減耗は、私たちの直接の生活から増やしたりすることはできませんから、就業者一人当たり雇用者報酬と就業者一人当たり営業余剰を増やすことで労働生産性は上がることが分かります。

日本の労働生産性が低い議論はよく目にしますが、こうやって数式に分解して分析している例はあまりないように思います。
次回は、この算式から読み解く、筆者なりの分析と労働生産性向上の提言をしたいと思います。

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