Archive for 11月 2011

個人事業を始めた時、やっておいた方がよい税務手続き

起業家の方々の税務のお手伝いをすることがあります。
最初は自分でやろうとしていた、あるいはやっていたが、だんだん手に負えなくなったので税理士にお願いしたい、というご依頼です。

残念ながら、必要な届け出をしていらっしゃらない方もありますし、あるいは、絶対必要ではないが、こういう届をしておいた方が後々楽だったのに、と思うこともあります。

こうした届け出は必ず税理士を通じて行わなければならない、というものではありません。
起業間もないのでお金をかけたくない、という場合には、もちろんご自分で書類を作成して提出することも可能です。
前回は会社設立の際にやっておいた方が良い手続きをご紹介しましたが、今回は個人事業主として事業を始められる際にやっておいた方が良い手続きをご紹介します。

届け出の書類を作成する前の準備

届け出の書類を作成する前の準備として、次のことに留意したほうが良いでしょう。

事業名、住所、代表者名のスタンプを用意する

事業を始めると、税務署への届出だけでなく、様々な申込書など、沢山の書類を書くことになります。全部を手書きにすると大変ですので、
1. 事業名(店名、オフィス名その他)
2. 住所
3. 氏名
のスタンプを用意するとよいでしょう。なお、スタンプを作るときは、これらの3つを一つのスタンプにするのではなく、3つバラバラにできるように作っておきます。
書類によって、店名や住所、代表者名が上下だったり左右だったりするので、3つで一体のスタンプだと使えないためです。

届出書は2部作成する

1部を提出用、1部を手元控えとするためです。窓口へ2部持っていくと、1部は回収されてしまいますが、もう1部は「収受印」というスタンプを押して返してくれます。
2部同じものをいちいち作成するのではなく、1部を作成した後でコピーを取る形でも構いません。ただし、コピーは印を押す前にしましょう。
郵送で提出することもできますが、切手を貼った返信用封筒を同封しておく必要があります。

手続きは税務署と自治体の両方

手続にもよりますが、たいていは、所管の税務署のほか、所在の自治体に行う必要があります。
自治体は、東京23区であれば都税事務所1か所で済むのですが、それ以外の地域では、市区町村役場と都道府県税事務所の両方に行う必要があります。
用紙は、これら事務所でもらってくることも可能ですが、たいていの場合はwebサイトで手に入ります。
所管の税務署がどこになるかは、国税庁のwebサイトで調べることができます。
http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/kankatsukuiki/syozaiti.htm

必要な届け出について

以下、事業を始めた場合の税務の手続きを記します。会社を設立した場合はこちらでご紹介しています。
◎は必要な手続き、○はしておいた方がよい手続きです。

◎個人事業の開業・廃業等届出書

事業を始めた時に必要な届です。税務署と自治体の両方に必要です。
税務署への届け出は設立から2か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
自治体については、お住まいの都道府県、および市町村でお調べください。
「神奈川県 個人事業 開始 届出」といったキーワードで検索し、目的の自治体のwebサイトで調べましょう。用紙もそこで手に入ると思います。
東京都への届け出は設立から15日以内ですので注意が必要です。

◎給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

給与を支払う際に必要な届です。最初は無給だから不要、と思われる場合でも提出はしておきましょう。
急にアルバイトを雇ったりするかもしれないからです。
税務署への届け出は事業開設から1か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

○源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書

ものすごく長い名前ですが、これは絶対に出しておいた方がよい届出書です。
給与を支払うと、一定の金額を源泉徴収する必要があり、源泉徴収した税金は翌月10日までに納付する必要があります。
言い換えると、毎月給与を支払うと、毎月10日源泉税を納付する必要があるわけです。
最初は従業員を雇わないのでいいや、と思う方もあるでしょう。
源泉は、給与だけでなく弁護士や税理士、社会保険労務士といった人に払う報酬にも行う必要があります。

源泉税の納付は普通、金融機関の窓口で行う必要があります。
毎月10日に金融機関に出向くのは、起業したばかりの人にとっては大変な手間です。
この届け出をしておくと、源泉税の納付は年2回、7月10日と1月10日までに行えばよいことになります。

なお、給与の支給人員が常時10人未満、という制限があります。
提出した日の翌月に支払う給与等から適用されることになっているので、なるべく早くに提出したほうが良いでしょう。
詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

○所得税の青色申告承認申請書

青色申告という言葉は耳にされた方も多いでしょう。この制度が承認された事業の申告書の表紙は青色になるので、このような名前がついています。
青色申告が認められると、赤字になった年の損失を繰り延べて、翌年以降支払うべき税金と相殺する(「繰越控除」といいます)ことができるようになります。
また、そのほかにもさまざまな税金の特典を受けられることがあります。
反対に義務として、きちんと簿記に従った帳簿をつけることが求められます。
最近では市販やフリーの会計ソフトを使えば、簿記に従った帳簿が作成できるようになっていますので、出しておいた方が良い申請書です。

税務署への申請は、前の年の事業年度終了日まで、または設立3ヶ月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

○青色事業専従者給与に関する届出

個人事業の場合、親族に仕事を手伝ってもらって給料を払っても、その給料は経費に算入できません。
ただし、この届出を行っておくと、条件を満たす場合は給料を経費として算入できるようになります。
詳しい条件はこちらに書かれています。
ただし、この取り扱いを受けると、今度は配偶者控除などが受けられなくなります。起業間もなくで、大した給料も払えないようなときは、配偶者控除を受けた方がメリットが大きいこともあるので注意が必要です。

税務署への申請は、事業開始、またはその親族の方に給料を払って手伝ってもらうようになってから2ヶ月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

会社を設立した時、やっておいた方がよい税務手続き

起業家の方々の税務のお手伝いをすることがあります。
最初は自分でやろうとしていた、あるいはやっていたが、だんだん手に負えなくなったので税理士にお願いしたい、というご依頼です。

残念ながら、必要な届け出をしていらっしゃらない方もありますし、あるいは、絶対必要ではないが、こういう届をしておいた方が後々楽だったのに、と思うこともあります。

こうした届け出は必ず税理士を通じて行わなければならない、というものではありません。
起業間もないのでお金をかけたくない、という場合には、もちろんご自分で書類を作成して提出することも可能です。

届け出の書類を作成する前の準備

届け出の書類を作成する前の準備として、次のことに留意したほうが良いでしょう。

会社名、住所、代表者名のスタンプを用意する

会社を始めると、税務署への届出だけでなく、銀行向け書類や様々な申込書など、沢山の書類を書くことになります。全部を手書きにすると大変ですので、
1. 会社名
2. 住所
3. 代表者名(できれば氏名だけではなく、「代表取締役 ○○」のように役名入り)
のスタンプを用意するとよいでしょう。なお、スタンプを作るときは、これらの3つを一つのスタンプにするのではなく、3つバラバラにできるように作っておきます。
書類によって、会社名や住所、代表者名が上下だったり左右だったりするので、3つで一体のスタンプだと使えないためです。

届出書は2部作成する

1部を提出用、1部を手元控えとするためです。窓口へ2部持っていくと、1部は回収されてしまいますが、もう1部は「収受印」というスタンプを押して返してくれます。
2部同じものをいちいち作成するのではなく、1部を作成した後でコピーを取る形でも構いません。ただし、コピーは会社印を押す前にしましょう。
郵送で提出することもできますが、切手を貼った返信用封筒を同封しておく必要があります。

手続きは税務署と自治体の両方

手続にもよりますが、たいていは、所管の税務署のほか、所在の自治体に行う必要があります。
自治体は、東京23区であれば都税事務所1か所で済むのですが、それ以外の地域では、市区町村役場と都道府県税事務所の両方に行う必要があります。
用紙は、これら事務所でもらってくることも可能ですが、たいていの場合はwebサイトで手に入ります。
所管の税務署がどこになるかは、国税庁のwebサイトで調べることができます。
http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/kankatsukuiki/syozaiti.htm

必要な届け出について

以下、会社を設立した場合の税務の手続きを記します。個人の事業の場合はこちらで別途ご紹介しています。
◎は必要な手続き、○はしておいた方がよい手続きです。

◎会社設立届

会社を設立した時に必要な届です。税務署と自治体の両方に必要です。
税務署への届け出は設立から2か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_2.htm
自治体については、お住まいの都道府県、および市町村でお調べください。
「神奈川県 法人 設立 届出」といったキーワードで検索し、目的の自治体のwebサイトで調べましょう。用紙もそこで手に入ると思います。
東京都への届け出は設立から15日以内ですので注意が必要です。

◎給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

給与を支払う際に必要な届です。最初は無給だから不要、と思われる場合でも提出はしておきましょう。
急にアルバイトを雇ったりするかもしれないからです。
税務署への届け出は設立から1か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

○源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書

ものすごく長い名前ですが、これは絶対に出しておいた方がよい届出書です。
給与を支払うと、一定の金額を源泉徴収する必要があり、源泉徴収した税金は翌月10日までに納付する必要があります。
言い換えると、毎月給与を支払うと、毎月10日源泉税を納付する必要があるわけです。
源泉税の納付は普通、金融機関の窓口で行う必要があります。
毎月10日に金融機関に出向くのは、起業したばかりの人にとっては大変な手間です。
この届け出をしておくと、源泉税の納付は年2回、7月10日と1月10日までに行えばよいことになります。

なお、給与の支給人員が常時10人未満、という制限があります。
提出した日の翌月に支払う給与等から適用されることになっているので、なるべく早くに提出したほうが良いでしょう。
詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

○青色申告の承認申請書

青色申告という言葉は耳にされた方も多いでしょう。この制度が承認された会社の申告書の表紙は青色になるので、このような名前がついています。
青色申告が認められると、赤字になった年の損失を繰り延べて、翌年以降支払うべき税金と相殺する(「繰越控除」といいます)ことができるようになります。
また、そのほかにもさまざまな税金の特典を受けられることがあります。
反対に義務として、きちんと簿記に従った帳簿をつけることが求められます。
最近では市販やフリーの会計ソフトを使えば、簿記に従った帳簿が作成できるようになっていますので、出しておいた方が良い申請書です。

税務署への申請は、前の年の事業年度終了日まで、または設立3ヶ月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm

○申告期限の延長の特例の申請書

法人の確定申告書の申告期限は、事業年度終了日(=決算日)から2か月以内となっています。
ただし、株式会社の場合は株主総会を開催するのが決算から3か月以内、と定款で定めている場合も多く、その場合には申告期限を延長することができます。
決算の作業というのは意外に面倒なものです。バタバタとしているうちに2か月はあっというま、ということもよくあります。
これも出しておいた方が良い申請書の一つです。
税務署への申請は、事業年度終了日までです。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_12.htm

自治体については、お住まいの都道府県、および市町村でお調べください。
「神奈川県 法人 申告期限延長」といったキーワードで検索し、目的の自治体のwebサイトで調べましょう。用紙もそこで手に入ると思います。

利回りとは

ギリシアの財政危機が取りざたされています。2011年11月3日の報道によれば、ギリシアの10年物国債の利回りは28%を超えたということです。

通常、国債は発行するときに利率が決まっています。半年に1回とか、年に1回、決められた利息が支払われることになっています。
予め決まっているはずの利息が突然28%に上昇してしまったのでしょうか。それとも、これから発行する国債の利息が28%ということなのでしょうか。

実はこういう利息と利回りは違います。
一般に、元本に対して支払われる利息は、「表面利率」と呼ばれています。何かに連動して利息が上下する債券でない限り、通常は「表面利率」が変わることはありません。

これに対して、「利回り」とは、その債券を満期まで持ち続けたと仮定した時の、もうけの合計を%で表したものです。
国債のような債券は、時に額面に対して低い価格、すなわち割引価格で発行されることがあります。
たとえば、95円で発行された国債を買い、1年後に100円で償還されたとすると、(100-95)÷95=5.2%儲かったことになります。
このとき、この国債は利回りが5.2%である、といいます。

国債のような債券は、発行してから満期まで持ち続けるだけでなく、売買することもあります。
日本の国債は、少し格付けが下がったとはいえ、まだまだ安全な国債とされています。
一方、ギリシアの国債は、そのデフォルト(債務不履行)懸念から価格がどんどん下がっています。

たとえば、国債のデフォルト確率が20%あるとしましょう。
持ち続けてデフォルトにならなければ、100円で償還されますが、万一デフォルトになると償還されない=返ってくるのは0円、ということになります。
そうすると、この国債の理論的な価値は、100x(1-20%)+0x20%=80円、ということになります。

こうして手に入れた80円の国債が、1年後に無事100円で償還されれば、(100-80)÷80=25%となります。
そこで、この国債の利回りは25%になった、というわけです。

利回りが上昇、というと、儲かる可能性が高い、良いことのように見えます。
しかし、その背景には、価格が下がっている=デフォルト確率が上がっている、というマイナス面があります。
利回りが高い=ハイリターンだが、デフォルトする確率も高い=ハイリスクである、という投機的な状況になっていると言えるでしょう。

さて、このように債券価格が下がっていくとき、それでも価格が決まっているということは、それを買う人がいるということです。
一体、どんな人が買うのでしょうか。
デイトレーダーのような個人もいますが、多くはヘッジファンドであったり、もしくは債券価格が下がることを前提に空売りしていた投資家が買ったりしています。
このような混乱に乗じて投機をして儲けるなんて、と眉をひそめる向きもあるかもしれません。
しかし、こういう時に投機目的で買う人がいなくなると、デフォルト懸念のある債券は、価格が底なしに暴落してしまいます。
何かと批判されることも多いファンドですが、反対に暴落を買い支えているともいえるのです。

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