利回りとは

ギリシアの財政危機が取りざたされています。2011年11月3日の報道によれば、ギリシアの10年物国債の利回りは28%を超えたということです。

通常、国債は発行するときに利率が決まっています。半年に1回とか、年に1回、決められた利息が支払われることになっています。
予め決まっているはずの利息が突然28%に上昇してしまったのでしょうか。それとも、これから発行する国債の利息が28%ということなのでしょうか。

実はこういう利息と利回りは違います。
一般に、元本に対して支払われる利息は、「表面利率」と呼ばれています。何かに連動して利息が上下する債券でない限り、通常は「表面利率」が変わることはありません。

これに対して、「利回り」とは、その債券を満期まで持ち続けたと仮定した時の、もうけの合計を%で表したものです。
国債のような債券は、時に額面に対して低い価格、すなわち割引価格で発行されることがあります。
たとえば、95円で発行された国債を買い、1年後に100円で償還されたとすると、(100-95)÷95=5.2%儲かったことになります。
このとき、この国債は利回りが5.2%である、といいます。

国債のような債券は、発行してから満期まで持ち続けるだけでなく、売買することもあります。
日本の国債は、少し格付けが下がったとはいえ、まだまだ安全な国債とされています。
一方、ギリシアの国債は、そのデフォルト(債務不履行)懸念から価格がどんどん下がっています。

たとえば、国債のデフォルト確率が20%あるとしましょう。
持ち続けてデフォルトにならなければ、100円で償還されますが、万一デフォルトになると償還されない=返ってくるのは0円、ということになります。
そうすると、この国債の理論的な価値は、100x(1-20%)+0x20%=80円、ということになります。

こうして手に入れた80円の国債が、1年後に無事100円で償還されれば、(100-80)÷80=25%となります。
そこで、この国債の利回りは25%になった、というわけです。

利回りが上昇、というと、儲かる可能性が高い、良いことのように見えます。
しかし、その背景には、価格が下がっている=デフォルト確率が上がっている、というマイナス面があります。
利回りが高い=ハイリターンだが、デフォルトする確率も高い=ハイリスクである、という投機的な状況になっていると言えるでしょう。

さて、このように債券価格が下がっていくとき、それでも価格が決まっているということは、それを買う人がいるということです。
一体、どんな人が買うのでしょうか。
デイトレーダーのような個人もいますが、多くはヘッジファンドであったり、もしくは債券価格が下がることを前提に空売りしていた投資家が買ったりしています。
このような混乱に乗じて投機をして儲けるなんて、と眉をひそめる向きもあるかもしれません。
しかし、こういう時に投機目的で買う人がいなくなると、デフォルト懸念のある債券は、価格が底なしに暴落してしまいます。
何かと批判されることも多いファンドですが、反対に暴落を買い支えているともいえるのです。

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