税務

外資系財務担当者必見:源泉所得税の税率が変わります。

12月決算の外資系企業にとって、この時期は次年度予算作成のシーズンです。外資系企業の予算作成の特徴は、以前に述べました

多くの外資系企業では、2013年度の予算作成で忙しくなってきていることと思います。
国税庁より、震災復興の財源として、源泉所得税の税率が変わるとの案内文書が出ています。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/fukko/index.htm
適用は平成25年1月1日からとありますので、適用はまだだいぶ先です。
経理処理としては十分留意する必要がありますが、まだ先ですので忘れないようにしておきましょう。


今から注意しなければならないのは、外資系の、特にExpat(海外からの駐在員)がいる場合です。
外資系企業では、幹部社員が親会社などから駐在員として派遣されている場合が多くあります。
こうした駐在員の給与は、ネット保証、すなわち手取り額が契約で決まっていることが多いです。
その場合、本人の手取り額から逆算して、所得税、住民税を計算し、最後に総額としての給与が計算されます。これをグロスアップと言います。


また、日本での住居、車などが会社から支給されている場合には、それらも給与認定されるので、グロスアップの対象になります。
震災復興財源として、源泉所得税の税率が上がると、本人の手取り額は変わらなくても、グロスアップされる給与総額は、上記の理屈により増えることになります。
2013年度予算作成では、payroll expenseが増えることになりますので、充分留意する必要があります。


また、会社法の規定で取締役の報酬総額が決まっていることがあります。
駐在員が社長やその他の取締役に就任している場合には、税率改定によって増加した報酬総額が、規定の額を超えないかどうか注意が必要です。
万一超えてしまうときは、定款の変更や株主総会決議が必要になり、それなりの時間と事務手続きも必要になるので、早めに金額の検証が必要です。

自分で確定申告、今から始めるツボ(その1)

確定申告がようやく終わりました。
私のように本業にしている者でも、何かと気ぜわしく、かつ面倒なことも多いのですから、普通の方々にとってはさぞ大変なことでしょう。
Facebookでも、「やっと確定申告が終わった!」という投稿をよく見かけました。それほど一大イベントなのです。

今年の確定申告を終えて、「ああすれば良かった」「こうしておけば良かった」という反省点も多いことでしょう。そこで、来年の確定申告に向けて、「こうしておいたら良いですよ!」というポイントを幾つかご紹介します。

今回ご紹介するのは、白色申告の事業所得申告者向けの内容です。
「白色申告」というのは、「青色申告」ではない普通の申告で、特に青色申告の届を出していない限り、普通の方はこちらの白色申告となります。
「事業所得」というのは、何か事業を営んでいる場合に申告するものです。本業で何かのご商売を営んでいる方、あるいは会社にお勤めでお給料をもらっているけれど副業をなさっている方、はこれに該当します。
それでは、幾つかコツをご紹介しましょう。

1. 今からでも領収書やメモを残そう

年に一度の確定申告ですが、その時に一度に済まそうとすると大変です。
「白色申告」では、必ずしも帳簿をつける必要はないのですが、領収書などは今からでも保管するようにしましょう。また、領収書をもらっていないものでも、メモを残しておきましょう。
「領収書がなければ経費として認められない」という説がありますが、必ずしもそうではありません。もちろん、架空の経費はいけませんが、本当に事業のために支出したものならば、経費として認められますので「いつ」「どこで」「何に」「幾ら」支出したかのメモを残しておきましょう。

2. 領収書はなるべく種類別にまとめよう

確定申告の時は、費用ごとにまとめて保管しましょう。
たとえば、仕入れに使ったものや、交通費、業者さんに支払った外注費、交際費などはそれぞれ別に束ねておきます。

3. 電気代、ガス代、水道代なども忘れず取っておく。

自宅兼店舗で、水道光熱関係の契約が一緒だったり、あるいは自宅で作業をしているときは、一定の割合で経費として認められるので、これらも忘れずに、種類別に取っておきましょう。
「一定の割合」とは、事業にどのくらい使ったか、の割合です。たとえば、サラリーマンが夜に自宅で副業している場合で、毎日2時間くらい作業しているなら、経費は20分の1くらいにする、などです(2/24時間、1LDKのうち、1部屋を作業に使っている、など)。

4. 領収書の金額欄に印をつける

これは、やっておくと意外に後で計算が楽なコツです。「領収金額」の部分を赤ペンで丸く囲っておくか、マーカーペンで印をつけます。こうしておくと、後で集計するときに、金額が一目でわかります。
多くのレシートは感熱紙を使っており、蛍光ペンを塗ると色が変わってしまうことがあるのでご注意ください。

5. なるべくなら、束にまとめるだけでなく、台紙に貼りつける

束にしておくと、集計するときもいちいちめくらなければなりませんし、紛失してしまう可能性もあります。なるべくなら、紙に貼っておきましょう。
立派なスクラップブックをわざわざ買う必要はありません。普通のノートで十分ですし、不要な紙の裏に貼ってもかまいません。
綴じられたノートに貼るよりは、ルーズリーフのようなノートか、不要な紙の裏(なるべく大きさはA4など一つに統一しましょう)に貼って、バインダーに綴じたほうが良いです。種類別にまとめやすくなりますし、後で集計するときに、家族みんなで手分けすることもできます。お子さんの計算練習になるかもしれません。

6. 医療費や薬代、交通費を別にまとめる

1年間の総額が10万円を超える場合など、医療費分を控除できる場合があります。最終的に控除できる最低金額に満たないこともありますが、一応、取っておいた方がいいでしょう。交通費なども認められます。
詳しくはこちら
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1122.htm

7. 売り上げはこまめにつける

特に小口の売り上げが沢山ある方は、分からなくなってしまいがちですので、売り上げがあった時はこまめにつけるようにしましょう。

1年分をためると大変ですので、今からでも始めてみましょう。2012年も既に3か月が過ぎようとしています。

脱税と所得隠しと申告漏れ-東芝子会社のリベート過大計上は本当に悪か?

読売新聞からYahoo!ニュースへの記事で、東芝子会社がリベートの過大計上による所得隠しがあったと報道されました
支払うリベートについて、本来作成されるはずの商談確認書と呼ばれる書類が作成されないまま経費として計上されていたものがあったため、と説明されています。

この報道を読んで、所得隠しと申告漏れを混同しているのではないかと違和感を感じました。

1. 会社の決算と税務申告の違い

会社の決算の数字と税務申告の数字は、実は大きく異なります。
法人税は、税法に従って計算された課税所得と呼ばれる金額に税率を掛けて求めます。しかし、税法の取り扱いと会計の取り扱いが異なることが多く、決算上の利益と課税所得は異なるのです。
報道では、書類が作成されないままリベートを経費にしている点で、いかにも架空の経費を計上したかのように取り上げています。
実際のビジネスの現場では、こういうことはむしろ一般的です。

書類が作成されるのは商談の最後の最後ということもあります。あるいは、年度を締めて実績の数字が固まってから、リベートの計算に入る、ということもあります。
特にリベートというのは、その1年間の商品の販売数が確定してから、数量に応じて値引きをする、というものです。
販売数は大手量販店や小売店などから情報を集め、集計し、間違いがないことを確認して初めて確定します。
そうすると、リベートの根拠となる書類が決算までに間に合わないことがあります。
しかし、決算上は、その期の商売で発生したリベートである以上、そしておそらくは書類手続きさえ整えばそのリベートを支払わなければならない以上、ある程度見積もりの金額を決算に取り込む必要が出てきます。
これは会計基準でも要求されていることで、決して経費の架空計上ではありません。
東芝子会社も、おそらくこの手続きに従って、リベートの見積計上を行っていたのでしょう。
筆者の経験上はむしろそれが普通です。

反対に、リベートの支払いは翌年なのだから、翌年の経費にする、という会計処理を行うと、本来見込むべき、負担の生じている経費を前年の決算に取り込んでいないことになります。こちらの方がむしろ粉飾決算と言えます。

2. 脱税と所得隠しと申告漏れ

これらは本来払うべき税金を払わなかった、という点では同じですが、意図があったかどうかによって悪質性は大きく異なります。

「脱税」というのは、文字通り税金を逃れる目的で、売り上げを隠したり、架空の経費を計上したりして所得を小さくする行為です。
わざと違法行為をしようというのですから、税務当局もこの点は厳しく目を光らせています。悪質な場合は重加算税というペナルティを科すこともあります。
「脱税」と「所得隠し」に明確な定義はありませんが、過去のマスコミ報道から傾向を見ると、「所得隠し」のうち大きなもの、より悪質なものが「脱税」、として取り扱われているようです。

次に「申告漏れ」ですが、これは逃れる意図があってではなく、会社の処理上のミスであったり、会社の判断に基づく申告と、税務当局の考える申告とが異なっている場合に起こります。
特に後者が問題となります。
税務上のルールというものは、実は明確に線引きできないものも多いのです。この点、会社が正しいと判断して行った処理でも、税務当局の見方はそうではない、ということが起こります。
互いの主張が平行線でどこまで行っても譲らない、ということになると、不服審判、あるいは裁判を通じて決着する、ということになります。
実際には、そういう裁判手続の複雑さや長期化を嫌って、会社の方が折れて過去の申告を修正して決着を図ることもあります。

1. で述べたように、決算上の数字と税務申告上の数字は異なります。
今回の東芝子会社の例では、リベートの見積計上を行う一方、申告上もそのまま経費として申告していたように見受けられます。
リベートの見積を申告上も経費としてよいかどうかは、実務上は難しい判断です。
法律上は、債務性のあるものは経費としてよいことになっています。そこで、見積であっても支払いがほとんど確定しているような場合には、経費として申告することもあります。
筆者もそのように経理をした経験があります。
おそらくは、この債務性を巡って、つまりリベートの金額がどのくらい確実なものだったか、ということを巡って税務当局と意見の食い違いがあったのでしょう。

しかし、報道の中でも会社のコメントとして書かれているように、仮装する意図はなかったようですし、最終的にリベートは支出されたということです。
したがって、この件は「所得隠し」ではなく、「申告漏れ」を指摘され、「会社が指摘に応じて修正した」ということだけのように思います。

e-taxでは別表七を電子申告できない

当事務所には10月決算のお客様があり、現在、確定申告を進めているところです。
昨年から本格的にe-taxに移行しましたが、印刷し、どこに判を押していただくかを示し、返信用封筒を用意してお客様にご郵送し、という手間がなくなって、当方もお客様もずいぶん助かっていました。

近々海外へ行く予定があり、少々案件が立て込んでいることもあって、申告は地方税だけ先に済ませ、法人税は海外でゆっくりやれば良いか、などと高をくくっていたのですが、昨日様式を確認していたところ、別表七の欠損金に関する明細が見当たりません。

国税庁のwebによると、平成23年6月30日に法人税法施行規則が改正されたことに伴い、様式の変更が一部間に合っていないとのことです。
平成23年6月30日以後に終了する事業年度又は連結事業年度の法人税の申告にe-Taxを利用する場合のご注意

別表七など様式が用意されていないものについては、別途公開されているPDFにより紙での作成、提出が必要になります。

海外に出発していたら郵送の対応が難しくなるので、事前に気づいてよかったです。

とはいえ、紙の提出がたとえ1枚でも必要になってしまうということは、ひと手間かけなければならず、効率は大きく後退します。
昨年は税務署の担当官からわざわざ電話までかかってきて、「e-taxの推進をよろしく」と言われていたくらいです。
推進する立場の監督官庁の都合で、効率性が後退することになってしまうのは困りますね。

1月上旬には新様式が利用可能になるということです。
筆者自身が持つ有限会社も含め、12月決算は他にも幾つかお客様があるので、12月決算の申告までには間に合ってもらいたいものです。

個人事業を始めた時、やっておいた方がよい税務手続き

起業家の方々の税務のお手伝いをすることがあります。
最初は自分でやろうとしていた、あるいはやっていたが、だんだん手に負えなくなったので税理士にお願いしたい、というご依頼です。

残念ながら、必要な届け出をしていらっしゃらない方もありますし、あるいは、絶対必要ではないが、こういう届をしておいた方が後々楽だったのに、と思うこともあります。

こうした届け出は必ず税理士を通じて行わなければならない、というものではありません。
起業間もないのでお金をかけたくない、という場合には、もちろんご自分で書類を作成して提出することも可能です。
前回は会社設立の際にやっておいた方が良い手続きをご紹介しましたが、今回は個人事業主として事業を始められる際にやっておいた方が良い手続きをご紹介します。

届け出の書類を作成する前の準備

届け出の書類を作成する前の準備として、次のことに留意したほうが良いでしょう。

事業名、住所、代表者名のスタンプを用意する

事業を始めると、税務署への届出だけでなく、様々な申込書など、沢山の書類を書くことになります。全部を手書きにすると大変ですので、
1. 事業名(店名、オフィス名その他)
2. 住所
3. 氏名
のスタンプを用意するとよいでしょう。なお、スタンプを作るときは、これらの3つを一つのスタンプにするのではなく、3つバラバラにできるように作っておきます。
書類によって、店名や住所、代表者名が上下だったり左右だったりするので、3つで一体のスタンプだと使えないためです。

届出書は2部作成する

1部を提出用、1部を手元控えとするためです。窓口へ2部持っていくと、1部は回収されてしまいますが、もう1部は「収受印」というスタンプを押して返してくれます。
2部同じものをいちいち作成するのではなく、1部を作成した後でコピーを取る形でも構いません。ただし、コピーは印を押す前にしましょう。
郵送で提出することもできますが、切手を貼った返信用封筒を同封しておく必要があります。

手続きは税務署と自治体の両方

手続にもよりますが、たいていは、所管の税務署のほか、所在の自治体に行う必要があります。
自治体は、東京23区であれば都税事務所1か所で済むのですが、それ以外の地域では、市区町村役場と都道府県税事務所の両方に行う必要があります。
用紙は、これら事務所でもらってくることも可能ですが、たいていの場合はwebサイトで手に入ります。
所管の税務署がどこになるかは、国税庁のwebサイトで調べることができます。
http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/kankatsukuiki/syozaiti.htm

必要な届け出について

以下、事業を始めた場合の税務の手続きを記します。会社を設立した場合はこちらでご紹介しています。
◎は必要な手続き、○はしておいた方がよい手続きです。

◎個人事業の開業・廃業等届出書

事業を始めた時に必要な届です。税務署と自治体の両方に必要です。
税務署への届け出は設立から2か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
自治体については、お住まいの都道府県、および市町村でお調べください。
「神奈川県 個人事業 開始 届出」といったキーワードで検索し、目的の自治体のwebサイトで調べましょう。用紙もそこで手に入ると思います。
東京都への届け出は設立から15日以内ですので注意が必要です。

◎給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

給与を支払う際に必要な届です。最初は無給だから不要、と思われる場合でも提出はしておきましょう。
急にアルバイトを雇ったりするかもしれないからです。
税務署への届け出は事業開設から1か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

○源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書

ものすごく長い名前ですが、これは絶対に出しておいた方がよい届出書です。
給与を支払うと、一定の金額を源泉徴収する必要があり、源泉徴収した税金は翌月10日までに納付する必要があります。
言い換えると、毎月給与を支払うと、毎月10日源泉税を納付する必要があるわけです。
最初は従業員を雇わないのでいいや、と思う方もあるでしょう。
源泉は、給与だけでなく弁護士や税理士、社会保険労務士といった人に払う報酬にも行う必要があります。

源泉税の納付は普通、金融機関の窓口で行う必要があります。
毎月10日に金融機関に出向くのは、起業したばかりの人にとっては大変な手間です。
この届け出をしておくと、源泉税の納付は年2回、7月10日と1月10日までに行えばよいことになります。

なお、給与の支給人員が常時10人未満、という制限があります。
提出した日の翌月に支払う給与等から適用されることになっているので、なるべく早くに提出したほうが良いでしょう。
詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

○所得税の青色申告承認申請書

青色申告という言葉は耳にされた方も多いでしょう。この制度が承認された事業の申告書の表紙は青色になるので、このような名前がついています。
青色申告が認められると、赤字になった年の損失を繰り延べて、翌年以降支払うべき税金と相殺する(「繰越控除」といいます)ことができるようになります。
また、そのほかにもさまざまな税金の特典を受けられることがあります。
反対に義務として、きちんと簿記に従った帳簿をつけることが求められます。
最近では市販やフリーの会計ソフトを使えば、簿記に従った帳簿が作成できるようになっていますので、出しておいた方が良い申請書です。

税務署への申請は、前の年の事業年度終了日まで、または設立3ヶ月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

○青色事業専従者給与に関する届出

個人事業の場合、親族に仕事を手伝ってもらって給料を払っても、その給料は経費に算入できません。
ただし、この届出を行っておくと、条件を満たす場合は給料を経費として算入できるようになります。
詳しい条件はこちらに書かれています。
ただし、この取り扱いを受けると、今度は配偶者控除などが受けられなくなります。起業間もなくで、大した給料も払えないようなときは、配偶者控除を受けた方がメリットが大きいこともあるので注意が必要です。

税務署への申請は、事業開始、またはその親族の方に給料を払って手伝ってもらうようになってから2ヶ月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

会社を設立した時、やっておいた方がよい税務手続き

起業家の方々の税務のお手伝いをすることがあります。
最初は自分でやろうとしていた、あるいはやっていたが、だんだん手に負えなくなったので税理士にお願いしたい、というご依頼です。

残念ながら、必要な届け出をしていらっしゃらない方もありますし、あるいは、絶対必要ではないが、こういう届をしておいた方が後々楽だったのに、と思うこともあります。

こうした届け出は必ず税理士を通じて行わなければならない、というものではありません。
起業間もないのでお金をかけたくない、という場合には、もちろんご自分で書類を作成して提出することも可能です。

届け出の書類を作成する前の準備

届け出の書類を作成する前の準備として、次のことに留意したほうが良いでしょう。

会社名、住所、代表者名のスタンプを用意する

会社を始めると、税務署への届出だけでなく、銀行向け書類や様々な申込書など、沢山の書類を書くことになります。全部を手書きにすると大変ですので、
1. 会社名
2. 住所
3. 代表者名(できれば氏名だけではなく、「代表取締役 ○○」のように役名入り)
のスタンプを用意するとよいでしょう。なお、スタンプを作るときは、これらの3つを一つのスタンプにするのではなく、3つバラバラにできるように作っておきます。
書類によって、会社名や住所、代表者名が上下だったり左右だったりするので、3つで一体のスタンプだと使えないためです。

届出書は2部作成する

1部を提出用、1部を手元控えとするためです。窓口へ2部持っていくと、1部は回収されてしまいますが、もう1部は「収受印」というスタンプを押して返してくれます。
2部同じものをいちいち作成するのではなく、1部を作成した後でコピーを取る形でも構いません。ただし、コピーは会社印を押す前にしましょう。
郵送で提出することもできますが、切手を貼った返信用封筒を同封しておく必要があります。

手続きは税務署と自治体の両方

手続にもよりますが、たいていは、所管の税務署のほか、所在の自治体に行う必要があります。
自治体は、東京23区であれば都税事務所1か所で済むのですが、それ以外の地域では、市区町村役場と都道府県税事務所の両方に行う必要があります。
用紙は、これら事務所でもらってくることも可能ですが、たいていの場合はwebサイトで手に入ります。
所管の税務署がどこになるかは、国税庁のwebサイトで調べることができます。
http://www.nta.go.jp/soshiki/kokuzeikyoku/kankatsukuiki/syozaiti.htm

必要な届け出について

以下、会社を設立した場合の税務の手続きを記します。個人の事業の場合はこちらで別途ご紹介しています。
◎は必要な手続き、○はしておいた方がよい手続きです。

◎会社設立届

会社を設立した時に必要な届です。税務署と自治体の両方に必要です。
税務署への届け出は設立から2か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_2.htm
自治体については、お住まいの都道府県、および市町村でお調べください。
「神奈川県 法人 設立 届出」といったキーワードで検索し、目的の自治体のwebサイトで調べましょう。用紙もそこで手に入ると思います。
東京都への届け出は設立から15日以内ですので注意が必要です。

◎給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

給与を支払う際に必要な届です。最初は無給だから不要、と思われる場合でも提出はしておきましょう。
急にアルバイトを雇ったりするかもしれないからです。
税務署への届け出は設立から1か月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

○源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書

ものすごく長い名前ですが、これは絶対に出しておいた方がよい届出書です。
給与を支払うと、一定の金額を源泉徴収する必要があり、源泉徴収した税金は翌月10日までに納付する必要があります。
言い換えると、毎月給与を支払うと、毎月10日源泉税を納付する必要があるわけです。
源泉税の納付は普通、金融機関の窓口で行う必要があります。
毎月10日に金融機関に出向くのは、起業したばかりの人にとっては大変な手間です。
この届け出をしておくと、源泉税の納付は年2回、7月10日と1月10日までに行えばよいことになります。

なお、給与の支給人員が常時10人未満、という制限があります。
提出した日の翌月に支払う給与等から適用されることになっているので、なるべく早くに提出したほうが良いでしょう。
詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_14.htm

○青色申告の承認申請書

青色申告という言葉は耳にされた方も多いでしょう。この制度が承認された会社の申告書の表紙は青色になるので、このような名前がついています。
青色申告が認められると、赤字になった年の損失を繰り延べて、翌年以降支払うべき税金と相殺する(「繰越控除」といいます)ことができるようになります。
また、そのほかにもさまざまな税金の特典を受けられることがあります。
反対に義務として、きちんと簿記に従った帳簿をつけることが求められます。
最近では市販やフリーの会計ソフトを使えば、簿記に従った帳簿が作成できるようになっていますので、出しておいた方が良い申請書です。

税務署への申請は、前の年の事業年度終了日まで、または設立3ヶ月以内です。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_14.htm

○申告期限の延長の特例の申請書

法人の確定申告書の申告期限は、事業年度終了日(=決算日)から2か月以内となっています。
ただし、株式会社の場合は株主総会を開催するのが決算から3か月以内、と定款で定めている場合も多く、その場合には申告期限を延長することができます。
決算の作業というのは意外に面倒なものです。バタバタとしているうちに2か月はあっというま、ということもよくあります。
これも出しておいた方が良い申請書の一つです。
税務署への申請は、事業年度終了日までです。詳しい手続と用紙はこちらにあります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_12.htm

自治体については、お住まいの都道府県、および市町村でお調べください。
「神奈川県 法人 申告期限延長」といったキーワードで検索し、目的の自治体のwebサイトで調べましょう。用紙もそこで手に入ると思います。

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