Archive for 2月 2011

外資系経理の生活(その6)-外資系企業の監査役監査

外資系経理の生活(その5)-予算から続く

会社法の施行後は、監査役の設置が任意となり、監査も緩和されましたが、旧商法の流れで定款に監査役を設置することを明記している外資系企業も多いです。
また、取締役会をおく会社は監査役の設置が義務化されています(会社法第327条)。

外資系企業の監査役は、本社やアジア太平洋地区統括本社の誰かが就任することが多いようです。
大抵は内部監査部門や法務部門の責任者が就任するようです。また、財務担当者は監査役の独立性の観点から就任できないとする内規を持つ会社もあります。
これらの監査役は、実質的には名前だけの監査役であり、実際に日本まで出向いて監査を行うことはほとんどありません。
ただ、監査役の監査報告書にサインをしなければなりませんし、良く知らない書類にサインをすることを嫌がりますから、日本の監査役とはどんなもので、何を求められ、何をしなければならないかを一から英語で説明しなければなりません。
人事異動で監査役が交代するたびにこれをしなければならないので、面倒です。

また、監査役が日本まで出向いて自ら監査を行うことは実務的ではないため、実際の監査は本社の内部監査部門がやってきて本社の監査基準に基づいた監査を行い、監査役はそれを追認する、というのが実務的な対応となっています。
本社の内部監査も対応できない場合には、日本の監査法人に依頼して監査を実施してもらい、監査役はそれを追認する、という場合もあります。

当事務所もこのような監査役監査に英語、日本語の双方で対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

外資系経理の生活(その7)-年間見通しに続く

モノポリーと事業の成長

知人の子供が遊びに来たので、皆でモノポリーをやりました。
モノポリーは、ルールをご存知の方も多いと思いますが、盤上の不動産を買い集め、家を建て、そこに止まったプレイヤーから賃料を稼ぐというゲームです。
ゲームの序盤において、どれだけ不動産を買い集められるか、またどれだけ家を早く建てて賃料を早く稼げるようになるかが成功のポイントとなります。

私はゲームの序盤、不動産の買い集めにはある程度成功していましたが、さいころの目が悪く、せっかく稼いだお金を税金(罰金)で持って行かれることが多く、十分な資金を確保できませんでした。
このため、せっかく買い集めた不動産に家を建てることができず、低い賃料に甘んじることになりました。

さて、このことは事業を進めるにあたって色々なことを示唆しています。

事業の黎明期においては、せっかく良い経営資源(ゲームでは不動産)に恵まれていても、それを更に発展させるための資金に恵まれないと、後々に事業が伸び悩むことになるわけです。

なお、私は中盤戦から、何とか小銭を稼ぐことに成功し、少しずつ貯めたお金で家を買い、遅くはなりましたが投資の回収ができるようになりました。
仮に事業発展の資金が十分に確保できなかった場合、何とか自立して少しでも自己資金を稼げる事業の道筋をつける、というのも事業成功の鍵となるわけです。


写真は、私が苦しめられた税金(罰金)のマス

一般感覚としてのキャッシュフローの必要性

先日、事業計画の作成をお手伝いしていた時のことです。
最初に作られていた原案では、利益を計算する表の中に銀行への返済が費用として含まれていました。
反対に減価償却費は含まれていませんでした。

銀行への返済は費用ではありませんから、利益の計算に含める必要はありません。一方、減価償却費は利益の計算に入れる必要があります。
このあたりは、会計に携わる者としては当たり前なのですが、そうでない方々には分かっていただいていないことも多いのです。

ただし、注目すべきはその方の視点が、「最終的に手元に幾ら現金が残るのか」という点であったことです。

会計上の利益と、最終的に手元に残る現金とが異なるのは、会計の世界では常識ですが、一方、経営に携わる人の視点としては、やっぱり「現金が全て」であって、最終的に現金が幾ら残るのか、は重大な関心事です。
その方は正に、キャッシュフロー経営を実践されている、とも言えるのです。

ともすると会計士の立場では、xxの会計処理はこう、といったところに注目してしまいがちですが、本当に会社を支える原動力となるのは、キャッシュを生み出す力です。

「最終的に手元に幾ら現金が残るのか」「それを生み出す源泉は何なのか」を常に意識できるようにしたいものです。

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