外資系経理の生活(その5)-予算

外資系経理の生活(その4)-外資系経理の決算の締め切りから続く

USCPAなどの資格を取って、これから外資系企業の経理に勤めてみようと思う方に、「外資系の経理ってどんなところ?」かを何回かに分けてご紹介したいと思います。

予算

外資系の経理では、次年度予算の作成という大仕事があります。予算の作成は前年の夏ごろから始まり年末までかかるという長丁場であり、さらに最終化されるのはその年度が始まってから、ということもあります。
スケジュールとしては次のような流れでしょうか。
夏ごろ 予算作成開始
秋ごろ 次年度計画として本社に提出、承認
年度末 翌年度目標数値として本社と合意
翌年初 年度決算を受けて予算の最終化、執行開始

予算の執行が始まってしまうと、日本企業のようにそれぞれの項目別に予算を厳格に守ったり、項目ごとの細かい予実対比を行ったりはあまりしない代わりに、目標とされる最終利益やキャッシュフローなどの数値が達成可能なのかどうか、見通しを求められるスタンスに変わっていきます。

せっかく長い時間をかけて作った予算があまり使われないのは釈然としないこともありますが、外資系企業では、その予算が作られたプロセスの細分化と、そして何といっても結果を重視します。

すなわち、環境の変化によって見通しを変更する際にも、基本的には立てた目標を厳格に守ることを求められ(=結果責任)、何がどのように変わったのかは予算との細かい比較によって説明を求められます(=説明責任)。

この点は、予算計画とは本社と日本法人との間の約束=契約であり、契約は絶対である、という契約社会特有の考え方に基づいているのでしょう。
したがって、計画に定めた目標を守れないということは、契約違反と捉えられます。
目標設定は大抵、予算で定めた目標を真中にして、最低目標=必達、最高目標=達成できたら理想、のレンジで決定され、賞与がその業績達成度に連動しています。
目標を守れない=契約違反ですから業績連動賞与は当然連動して減らされます。必達にも満たないようですと、契約解除=クビ、のリスクも視野に入ってくるのです。

外資系経理の生活(その6)-外資系企業の監査役監査に続く

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