宝くじは買ってはいけない?

年末ジャンボ宝くじの季節になりました。テレビのCMも盛んに行われています。「当たったら何を買おうか」と胸算用されている方も多いことでしょう。

筆者は宝くじを絶対に買いません。なぜでしょうか。

投資であれギャンブルであれ、その動機というのは、一定の投資の元にリターンを期待するからです。
リターンの額が大きければ大きいほど、良い投資ということになりますが、将来のことは誰にも分かりません。
リターンがあることもあれば、ないこともあります。
投資額を失うこともあります。つまり、宝くじの場合は当たらなかったということになります。

どの程度のリターンが得られるかは、一定の確率によっています。
銀行預金や国債であれば、わずかな利率とはいえ、ほぼ確実にリターンが得られます。つまりリターンが得られる確率は100%に近いでしょう。
株式であれば、長期的にはその会社の将来の収益性の期待によって決まります。
ただし、毎日の株価といったものは、様々な思惑や評判によって乱高下します。
昨今、市場をにぎわすスキャンダルのようなものがあれば、もちろん株価は大暴落しますが、中長期的にその確率をどのように読むかが投資の成功の秘訣と言えるでしょう。
かの大富豪ウォーレン・バフェットは、長期的な投資の視野に優れていると言われています。
この確率の読みが優れているのでしょう。

さて、問題の宝くじはどうでしょうか。

一般に、宝くじの収益還元率は5割以下と言われています。つまり、100円で宝くじを買って、返ってくる当せん金は50円以下、ということです。
実は、「当せん金付証票法」という法律があり、そこでも収益還元率は原則として5割以下、とされています。

「そんな夢のない話を」
「買わなければ当たらないのだから、買い続ければいつかは当たる」
と主張する人もいるでしょう。

統計学に「大数の法則」というものがあります。
発生する条件が一定であれば、母集団が大きければ大きいほど、発生確率は最初に予定された確率に収れんしていく、というものです。

少し難しいことを書きましたが、簡単に言うとこういうことです。
サイコロをランダムに振ります。出た目は1だったり、6だったりするでしょう。
珍しいことですが、10回続けて6が出るかもしれません。
しかし、1千回、1万回、と沢山振っていると、6が出る確率はだんだん1/6に近づいていきます。
もし1/6にならなかったら、そのサイコロは重心が狂っているか、形がゆがんでいると疑ったほうがいいでしょう。

さて、宝くじの場合は、その性質上、抽選方法が厳格に行われています。
衆人監視の元で、回転する円盤に矢を放ちます。
その方法にインチキがあっては大変な騒ぎになりますから、恣意性が入らないように、意図的な操作が行われないように抽選を行います。
この「恣意性が入らない」「意図的な操作が行われない」ことが実はクセモノなのです。
恣意性なく、公平に、偶然に起因するように行えば行うほど、大数の法則により宝くじの当選は当初予定された確率に近くなります。
つまり、5割以下という収益還元率に近づいていくわけです。

初めて1枚買ったら1億円当たった!という人もいるかもしれません。
確率ですから、そういうこともありえます。
しかし、たくさん買えば買うほど、大数の法則によって当初の確率に近づいていきます。
もう何十年も、何枚も買い続けている、という人は、今すぐ買うのを止めたほうがいいかもしれません。

競馬は、馬券発売が締め切られると配当予想が表示されます。
買った人たちの勝ち馬の予想により、ある程度の予想収益還元率が表示されているわけです。
さらに、当日のダートの状態や馬の調子、騎手のリードの仕方などによって、さらに勝率は変わってきます。
この点は、サイコロや宝くじのように、予め確率が決まっていない部分ですので、大数の法則が当てはまりません。

一見、競馬より健全なギャンブルに見える宝くじですが、宝くじを買うよりは、競馬に掛けた方が財務的に健全と言えるかもしれません。
もちろん、競馬を積極的に勧めるものではありません。ギャンブルはほどほどに。

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