特許紛争とリスク分散

6月15日付日経新聞に、ノキアがアップルと特許料で和解したことが報じられていました。
ノキアは、同社の特許の幾つかをアップルが侵害したとして訴え、反対にアップルも同社の特許をノキアが侵害しているとして互いに訴える特許紛争が起こっていたとのことでした。

特許の詳しい内容は分かりませんが、このような紛争について一つ言えることは、基本的にはゼロサムゲームになっているということです。
時間をかけて紛争を続ければ、あるいはノキアとアップルのいずれかが勝つかもしれません。
負けた方は買った方に侵害した特許料を支払いますが、両者の損得を足し合わせると0ゼロとなります。
もしくは、紛争にかけた時間の分、弁護士費用や様々な調査費用などの裁判費用が両者とも掛かりますので、マイナスサムゲームとも言えます。

特許紛争は複雑な要素が絡みます。
筆者が過去に見た例では、ある特許を巡り争っていたところ、反対に相手からは特許そのものの有効性を疑う無効審判を請求されました。
仮に無効審判が通ってしまうと、そもそも争点となる特許そのものがなくなってしまうことになります。
相手との紛争は引き分けになるものの、他の大多数の競争相手に対して競争優位を失うリスクも出てくるわけです。

今回のアップルとノキアのケースでは和解により、アップルが幾らかの特許料をノキアに支払うことになったということです。
これをノキアの勝利とみるかどうかは裁判上、判断の分かれるところですが、和解によって早期解決を目指したことは、両者にとって時間短縮のメリットがあったといえるでしょう。

ビジネスのうえで、どうしても白黒つけなければならない場面もありますが、紛争の間も事業環境は目まぐるしく変化します。
裁判が終わるころには、その紛争の対象となる技術は使い物にならないくらいの時代遅れになっているかもしれません。
上に述べた例のように、第三者に対して競争優位を失うリスクもあります。
また、別に考慮しなければならないのは、その紛争の間にもし両者が協力したならば得られたであろう逸失利益です。

もし、両者が早期に紛争を解決する一方、互いに技術を共有して協力し合うと、何か革新的な技術が得られ、より大きな事業利益を手にすることができるかもしれません。
それは、ゼロサムゲームではなく、ウィン=ウィンの関係になる、プラスサムゲームとなる可能性もあります。

よほど確実な事件ならともかく、あるいはからめ手で別の訴えを起こされるなど、勝敗のリスクは案外高いと言えるかもしれません。
リスク分散の視点からは、早期に紛争を収め、双方にとってプラスとなる歩み寄りを得た方が、他の競争相手に対しても有利な立場を築けるかもしれないでしょう。

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