外資系経理
外資系経理の生活(その2)-外資系経理の組織
TweetUSCPAなどの資格を取って、これから外資系企業の経理に勤めてみようと思う方に、「外資系の経理ってどんなところ?」かを何回かに分けてご紹介したいと思います。
外資系経理の組織
外資系企業は、その多くが世界各国に事業を展開する多国籍企業(MNC, multi-national company)であることが多いです。その多くは、本社を中心にして、欧州、米州、アジア太平洋(APAC, Asia Pacific)などの地域ごとに地域本社(regional office)を置いて統括しています。たとえば、日本にある外資系企業は、多くの場合、アジア太平洋地域に属していて、地域本社の指示を受けるようになっています。
このような地域本社制を取る外資系の場合は、マトリックス組織と言って、組織のラインの指揮系統のほかに、機能面での指揮系統があります。
すなわち、日本法人の財務部門のトップは通常、日本法人の社長が直属の上司となりますが、一方で地域本社の財務部門にも報告を行うという、二重の指揮系統下にあります。
この形式は、財務部門だけでなく、営業、マーケティング、人事、品質管理といった他の機能職にも見られます。
どちらの指揮系統の影響力が強いかは、会社によって異なります。日本の社長のほぼ指揮下にあって、地域本社の財務には決まったレポートさえ送っていればよい、という会社もあれば、基本的には地域本社の財務に属していて、日本の社長に対してさえも、ノーと言える権限を有しているという会社もあります。
ちなみに、指揮系統下にあることを”report to”と言います。たとえば、”report to the country manager”といえば、日本法人の社長が直属の上司である、ということです。
間接的に地域本社の財務にもレポートしていることを、”dotted line”と呼ぶこともあります。組織図上で、レポートラインが点線で示されることからそう呼ばれます。
外資系経理の生活(その1)-外資系経理の機能
TweetUSCPAなどの資格を取って、これから外資系企業の経理に勤めてみようと思う方に、「外資系の経理ってどんなところ?」かを何回かに分けてご紹介したいと思います。
外資系経理の機能
日本企業に経理部があるように、外資系企業も経理があります。一般には”Finance”と呼ばれる部署になっていることが多いです。帳簿をつけ、得意先からお金を集め、または仕入先などにお金を支払い、決算を締めて経営者にレポートする、という点では日本企業と同様です。
ただし、外資系企業では内部統制を非常に重視していて、帳簿をつける人(record)と実際にお金を出し入れする人(custody)を明確に分けたがります。これを一人の人がやると、勝手にお金を着服し、しかもその記録をごまかすことができるから、という発想です。
小さな会社では、担当者を分けますが、大きい会社では帳簿をつける部署が経理(financial accounting, FA)、お金の出し入れをする部署が財務(treasury)と呼ばれたりします。
もう一つの特徴が、FP&A(financial planning and analysis)と呼ばれる機能です。一言で適当な訳がありませんが、予算管理、財務管理などと呼ばれます。
具体的には予算を立案し、FAが締めた決算の内容を分析し、経営に対して分析結果の報告を行います。
外資系企業ではFP&Aの機能を非常に重視しており、FAと同等かそれ以上の人数を割いている企業もあります。日本企業でこの部署を置いているところは稀で、一般には経営企画部がその役割を追っていることが多いです。