中小企業の経営-ドラマ「下町ロケット」

WOWOWで放映されたドラマ「下町ロケット」第1回を観ました。
大田区の中小企業、つくだ製作所。高い精密加工技術を売りにしているが、主力製品の技術を大手企業のナカシマ精機から特許侵害で訴えられる。
係争の対象となった製品の供給に不安を覚えた大口得意先からのキャンセル、メインバンクの融資打ち切りで、つくだ製作所は窮地に立たされる。
というストーリーです(第1回まで)。

訴訟に売り上げ減、融資打ち切りと、よくも立て続けに問題が発生するものだとも思いますが、普通、問題は立て続けに発生するものなのです。
当然のことながらビジネスはあらゆる要素が相互連関しており、一つに問題が発生すると連鎖反応が起きるからでしょう。
中小企業の経営に携わったことのある筆者にも経験があります。

ドラマ中では、技術一辺倒で多額の開発費を支出してきた社長への不満も噴出します。
経理部長も開発費の上昇に苦言を呈しますが、「モノづくりの火を絶やさない」と社長は主張します。

長年経理財務に携わってきた筆者が言うのは少し変かもしれませんが、この社長の言葉には大いに賛同します。

多くの中小企業の足元は決して安定していません。
現在も6重苦などと言われますが、海外とのコスト競争に打ち勝つには、確かにコスト削減と、今すぐ日の目を見ない開発費支出を抑制するのは正論と言えるでしょう。

一方、それだけではやはり激しい競争に勝てないのも事実です。
コストダウンだけで他に売り物がない場合には、早晩行き詰まります。自社より高いコスト競争力の企業が世界のどこかに現れたら、すぐに乗り換えられてしまうからです。
いかにコストダウンに努めても、最後はコストを0にはできませんから、必ずどこかに限界があります。

したがって、決して盤石とはいえない中小企業の経営を支えるのは、実は目先のコスト削減ではなくて、高い技術力こそが本当の競争の源泉と言えるでしょう。
そうした技術力を売り物に変える部分こそが苦しいのもまた事実ですが、それを乗り越えることが正に真の競争力の獲得と言えるでしょう。

どのように難局に立ち向かっていくか、ドラマの次回以降が楽しみです。

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