「のれん」とは
Tweet前社長の解任問題でオリンパスが連日話題になっています。
前社長の解任は社内のコミュニケーションが問題とされたようですが、一方で前社長は過去に同社が行ったM&Aの価格が高すぎたことを問題視しているようです。
2011年10月20日付の日本経済新聞の報道によると、M&Aの買収価格が高すぎて、「のれん」について、「減損」を適用することになったことが書かれています。
さて、M&Aについて必ず出てくる言葉が「のれん」です。
「のれん」というと、飲食店の入り口に掛かっている、いわゆる「暖簾」を思い浮かべますが、M&Aに出てくる「のれん」とは一体なんでしょうか。
会社を買収しようとするとき、様々な方法で買収価格を決めます。
その価格の決め方は、理論的には色々な算定方法があります。
しかし、最終的には売り手と買い手の交渉ごとですから、最後は両者が折り合える金額で買収が成立することになります。
一方、その買収した会社は決算を行い、買収時点での財務諸表というものがあるはずです。
貸借対照表は、その時点での会社の財政状態を表します。
したがって、資産から負債を引いた純資産が、その時点での会社の財務諸表上の価値、ということになります。
ところが、この純資産で買収価格が決まる、ということはほとんどありません。
たいていは会社の資産価値を時価で再評価したり、その会社の事業の将来性を評価したりするので、買収価格は純資産よりも高くなります。
買収した会社は、親会社の財務諸表と一緒に連結することになるのですが、連結するときにこの再評価作業を行います。
しかし、資産や負債を再評価した後でも、どうしても差額が残ります。これを「のれん」といいます。
上に述べたように、その差額の主な内容は、事業の将来性を評価したりして出てくる金額です。その会社の事業の価値そのものといってもよいでしょう。
お店の「暖簾」がその店の価値そのものであるように、このような買収差額、つまり資産などを再評価しても残る事業の価値を「のれん」と呼ぶわけです。
図を見てみましょう。
買収時点での純資産が50となっている会社を買収価格80で買収したとします。
資産や負債を再評価した結果、純資産は20増えたとしましょう。
それでも、買収価格80-再評価20-純資産50=10が残ってしまいます。これが「のれん」というわけです。
ところで、純資産よりも低い価格で買収することもあります。そうすると「のれん」はマイナスになります。これを「負ののれん」といいます。
赤字が続いて誰も買い手がつかなくなってしまった会社に目をつけて、安く買って、親会社のノウハウを上手く移転しながら会社の持っている潜在価値を引き出す。
そういう時に「負ののれん」が発生することがあります。
次回「減損とは」に続く