外資系経理の生活(その9)-勘定科目体系の最近の動向

外資系経理の生活(その8)-ボーナスから続く

簿記の勉強を始めると、最初に悩まされるのが、勘定科目を覚えることです。

何々の費用は◯◯費、と沢山の勘定科目を覚えなければならないのか、と憂鬱になります。

実際は、経理の仕事を始めると、何々の費用は◯◯費、というのは規定で決まっていますし、前に同じような取引があれば、それを参考にしますので、あまり難しいことではありません。

さて、外資系企業の経理というと、今度はそれらの勘定科目が英語になるので、またもう一段難易度が増すように感じられますが、 外資系であってもやはり親会社が定めた規定があるので、それに従っていればそれほど難しいことではありません。

さて、最近ではどこの国の企業もグループ企業の一体化、迅速な経営情報の把握、といった目的から、統一した会計処理を求められるようになりました。勘定科目もその一つです。

親会社への報告は、「連結パッケージ」と呼ばれる、所定の報告様式に記入して送ることが多いです。

以前は、Excelの所定の書類、損益計算書、貸借対照表といった計算書を送る方式になっていましたが、単なる決算書の作成以外のさまざまな経営情報を把握する目的から、内容も細かくなり、また様々な定性情報も求められるようになっています。

勘定科目も多分に漏れず、親会社から詳細な指示(instruction)が送られてきます。最近、幾つかのお客様をお手伝いしていて気づくのは、詳細な勘定科目の使い方まで親会社から指示が来るようになったことです。

一方、勘定科目というのは、その会社の経営を表す鏡でもあることです。会社によって活動の仕方は違いますし、したがって会社によって重視する勘定科目もかなり違います。

これは、同じ企業グループ内であっても、所在する国や、事業分野によってやはり違います。

しかし、最近の動向としては、親会社から与えられる指示が事細かな一方、指示は統一的で例外を認めないことが多くなってきています。

勘定科目を統一することは、親会社の連結決算の統合作業を効率よく進めるだけでなく、連結経営の上でも業績把握を容易にするメリットがあるのですが、一方でローカルの細かな違いを反映できないこともあります。

IFRS導入に際しては、グループ内で勘定科目の統一を行いますが、こうした細かな違いを反映できる工夫も必要です。

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